『沢登り』と一言に言ってもその内容は千差万別。
『美しく癒し系の沢』があれば『畏怖の念を抱くような沢』もある。『自分の限界に挑戦し体力的にも精神的にも充実する沢』もあれば『仲間とチームワークで突破する沢』もあるし『記録のない冒険的な沢』もある。
様々な要素がある沢において、今回は私が遡行した中で特に『異世界に迷い込んだような』と感じたおすすめの沢を4つを紹介していきます。
目次.
1.銚子の伽藍(群馬):中級
まず紹介するのは群馬県赤城山の銚子の伽藍。冒険心をかき立てる秘境ゴルジュです。
登山道の脇に深い洞穴上の割れ目とそこに粕川の沢水が飲み込まれていく光景が現れます。ここが銚子の伽藍の入口です。
ここにゴルジュがあることを知らなければ気が付かずに通り過ぎていくであろう、そんな秘境感溢れるゴルジュです。

ゴルジュ内は広くても幅3mほど、側壁も粘土質の赤茶色の高い壁に囲まれ、まさに異世界が続きます。
光も入りにくい薄暗く異様な空間の中を遡行していく、あまりの冒険感にドキドキが止まりません。
極狭のゴルジュの遡行を終え、地上に出て来し方を振り返ったときには『本当にこの地下にあの異様なゴルジュがあったのだろうか?』と狐につままれたような感覚に。
「圧倒的な景色」を目の当たりにし、「インディー・ジョーンズさながらの冒険家」として遡行し、「あの異世界は夢?」という終了。
非日常を求めている人への特効薬に是非。

2.大沢川(群馬):中級
次に紹介するのは群馬県草津にある大沢川。妖しさ漂う幻想の異世界ゴルジュです。
朝日前衛にも同名の沢がありますが、こちらは日光白根の麓の大沢川。野湯で有名な毒水沢の隣の沢です。
毒水沢は温泉成分による独特な濁り水で癒し系の沢ですが、大沢川は幻想的な異空間ゴルジュ。
毒水沢に行ったことのある人でも存在を知らなければ、まさか隣の沢にこんな異世界ゴルジュが広がっているとは思わないでしょう。

ゴルジュ内は赤味がかった粘土質の地層、そして苔に覆われた高い壁が広がります。
水の中には水苔が広がり、その鮮明な色は美しいだけではなくどこか毒々しくもあります。沢の水は透明度が高く真っ青に澄んでおり、夏でも凍えるほどの冷たさ。
赤い土壁に、緑の苔、そして青く澄んだ水。幻想的な空間です。
遡行の難易度としてはやや高めなので、足並みが揃っているチームで臨むことをお勧めします。
参考記録はこちら

3.電気の沢(北海道):初級
次に紹介するのは北海道にある電気の沢。異次元に迷い込んだような美しい苔ゴルジュ。
今までお勧めした2つの沢は中級者以上向けですが、こちらは遡行グレード2級と易し目。しかしその美しさ、『異世界感』は全く引けを取りません。

苔に覆われた美しいゴルジュは異世界感満載。ゴルジュではありますがそこまで幅も狭くないのでゴルジュ独特の『恐ろしさ』は少なく、『美しさ』が勝る美渓沢です。
初めて電気の沢を訪れた時には『これ以上の沢に出会える気がしない』と思いました。それほどの美しい異空間が広がります。
そして電気の沢の良いところは、お手軽に異世界ゴルジュを楽しむことができること。ゴルジュ入門にも打ってつけの沢です。
ここに行ったらゴルジュ好きになること間違いなしの美しい異世界が待っています。

4.七ツ爆ゴルジュ(埼玉):中級
最後に紹介するのが埼玉県秩父にある七ツ爆ゴルジュ。七つの滝が冒険者を試す異界のゴルジュ。
七ツ爆ゴルジュ手前には安谷川があり、こちらは初心者や沢シーズン初めにお勧めの沢。一方で安谷川より奥にある七ツ爆ゴルジュは異世界感溢れるゴルジュ。
核心となる滝は威風堂々。思わず『おお~』と声が漏れてしまいます。

登攀内容も面白く、ヘッドライトが欲しくなるほどの暗がりの中チムニーで登り、ヘルメットを被ったままでは通れない極狭の洞窟を匍匐前進で水平移動。
こんなユニークな沢登りは初めて。沢登りというか、もう冒険です。
秩父という東京から近郊にこんな異世界ゴルジュがあるとは思いませんでした。
内容も、景観も、控えめに言って最高です。

今回は『異世界に迷い込んだような沢』をテーマにおすすめの沢を紹介していきました。
『今週の沢はどこに行こう?』そんな時に【難易度】や【山域】からではなく、【異世界感を感じられる沢】という切り口から沢登りの場所を選んでみるのも面白いかと思います。
私の装備リストなんかも載せておくので是非参考にしてみてください。



