レインウェアを検討する時に『レイヤー』『防水透湿素材』など、やたらと難しい言葉が出てきますよね。
『結局どれがいいの?数字が大きければすごいの?』
そんな疑問をスッキリさせるために、今回は”レインウェアの基礎”を分かりやすく解説していきます!
目次.
1.レイヤーとは?
レインウェアを調べていると、”2レイヤー”、”3レイヤー”と言った言葉を聞くと思います。
「レイヤー」とカタカナで言われるとよくわかりませんが、レイヤーとは和訳すれば【層】のこと。
レインウェアとはTシャツのような反物一枚から作られているのではなく、何層もの素材から作られている衣類なのです。
これが2層で作られているのか、はたまた3層で作られているのか、ということを分かってもらうために”2レイヤー”、”3レイヤー”と表しています。
具体的にレインウェアは下記の構造になっています。
2層(2レイヤー):表地+防水透湿素材
2.5層(2.5レイヤー):表地+防水透湿素材+凸凹状のプリント
3層(3レイヤー):表地+防水透湿素材+裏地

2.レイヤー毎の特徴は?
レイヤーが分かったところで、それぞれのメリットデメリットを考えてみます。
【2レイヤー】
メリット:価格が安い・軽量・しなやか
デメリット:汗によるべた付き・耐久性が低い
【3レイヤー】
メリット:耐久性が高い・べた付かない
デメリット:価格が高い・重くなる・動きが渋い
2.5レイヤーはその中間の立ち位置。
多くの人が『2レイヤーより3レイヤーの方が良いんでしょう?』と思いがちですが、上記メリット・デメリットを読んで分かる通り、使用状況によってはそうとも言えません。
実際に私は沢登りの際には3レイヤーではなく2.5レイヤーを使用しています。
何故ならレインウェアの下はウェットスーツを着ているため、レインウェアが直接肌に触れることがなくべたつかず、3レイヤーよりしなやかで動きを妨げにくいからです。
一方で登山の際には半袖Tシャツの上にレインウェアを着用することが多いので、3レイヤーを選んでいます。

3.透湿素材・防水素材・防水加工とは?
さて、ここまでが基本のキのところになります。
ではレインウェアの構造を担う“防水透湿素材”とは何かを詳しく見ていきます。
と言いたいところですが、その前に、透湿防水素材の基本となる“透湿素材”・“防水素材”・“防水加工”についてみていきます。まずは透湿素材から。
透湿素材:湿気を外に押し出す素材。
運動をすると衣服内部の湿度が上がり、汗をかき、不快さを感じますよね。
汗は不快なだけでなく、結露によって低体温症を誘発する危険すらあり、快適な登山のためには衣類内の湿気を放出する必要があります。
この人体など内側から発生する水蒸気や湿気を外に放出する機能を持った素材が透湿素材なのです。
ちなみに夏の激しい運動で成人男性は1時間に1リットル程度の汗をかくといわれています。(=24時間で24000g。透湿性が24,000g/m2/dayであれば激しい運動で生じた汗を放出してくれるということになる。)
防水加工:生地内に水を通さない加工。
撥水加工と防水加工は混同しそうになりますが、撥水加工が水や泥などを生地表面で弾く機能なのに対して、防水加工は生地内部への侵入を防ぐものです。
つまり、生地表面が濡れているウェアを見たときに、「防水加工の効果が切れてしまったのかな?」と思かもしれませんが、これは表面の撥水加工の効果がなくなっている状態です。
もしこの状態でも裏側が濡れていないならば、『撥水加工の効果はなくなったが、防水加工の効果は持続している』状態。
そんな防水加工の手法には大きく分けて2種類あり、生地に粘度を持った樹脂を塗り固める[コーティング加工]とシート化した素材を生地に張り付ける[ラミネート加工]があります。
コーティング加工はラミネートよりも安価に作れますが、薄くするのに限度があり耐久性も劣ります。
ラミネート加工はコーティング加工よりも高価ですが、シートで先に防水素材をつくるので強度や厚さを調整でき、またストレッチ性を持たせることができます。
防水素材:外からの水を防ぐ素材。
防水加工が施された素材のこと。
防水素材は水を一切通さないかわりに空気も通さないため、ウェアにした場合どうしてもウェア内に湿気がこもり中が濡れてしまう欠点があります。(例: ビニールやゴムのカッパ)
また防水素材の防水機能は【耐水圧「***mm」】という数値で示されます。
生地がピンと張っていれば耐水圧が低くても防水機能が発揮されますが(傘に使われている布は300mm程度)、衣類の場合は座ったりするなど局所的に圧力がかかることが考えられることから、より高い耐水圧が求められます。
逆に言えば、圧力を気にしなくてもよい場合にはそれほど高い耐水圧が必要ないということです。
4.防水透湿素材とは?
ここまで読んだ人は分かると思いますが、【防水透湿素材】とは上記防水素材と透湿素材を組み合わせたものなのです。
防水透湿素材:外からの侵入を防ぎ、中の湿気を押し出す素材。
防水透湿素材には、生地に防水・透湿性能を持った層をコーティングする「コーティング法」と、防水・透湿性を持つ薄膜(=メンブレン)を耐久性のある表地と肌に接触する裏地で挟み、積層型の生地とする「メンブレン法」があります。
基本的には、いずれの場合も水滴より小さく、水蒸気より大きい微細な孔があいた「コート層」または「メンブレン」によって防水・透湿を実現させています。
具体的には気体状態の水粒子の大きさが 0.0004μで液体状態の水粒子の大きさが100μ~3,000μと、粒子の大きさが気体状態と液体状態で大きく異なることから、この中間の孔径をもつ微多孔質膜を用いて雨水の外部からの侵入を防ぎ、体内から発生する水蒸気をこの微多孔質膜を通して外部に発散させる仕組みです。
『穴の大きさは理解できたけれど、どうしてウェア内部の水蒸気が勝手に外部に出ていくの?』
と疑問に思うと思いますが、これを理解するには水蒸気の仕組みを知る必要があります。
そもそも空気中の水蒸気は温度が高いほど水分をため込むことができます。だから冬場は湿度が低く夏場は湿度が高いわけです。
そして空気中の水蒸気は水蒸気圧の高い方から低い方へ、つまり、水分の多い方から少ない方へ移動拡散します。このことからウェアの内側と外側の水蒸気圧の差で、内側の水蒸気圧が高まると水蒸気圧の低い湿気が外へ押し出される仕組みです。
その為温度と湿度の高い樹林帯で使用した場合、ウェアの外側も高温多湿だと湿気が外に出ていかず防水透湿のメカニズムが機能しないのです。(例:熱帯雨林)

また、透湿性能を保つためには撥水性も重要となります。
基布の表面が濡れて水の膜が形成されると透湿度の低下を引き起こしてしまいます。
また、濡れた岩に腰を下した場合には毛細管現象による漏水化が問題となります。このため基布にいかに耐久性のある撥水加工を行なうかも重要な問題となります。
ここまで想定以上に長い内容になってしまいました。しかし想定したより表面だけではなくしっかりと内容をお伝えできたのではないかと思います。
次回は【メンブレン】について研究していきます!



