冬山の過酷な寒さから指先を守るために欠かせない装備、グローブ。
自分に合ったものを選びたいけれど、防水性、保温性、構造など様々な違いがあり、種類も多く
『結局自分にはどれが良いの?!?』となりがちです。
今回は冬山グローブの”シンプルに見えて奥深い”構造や中綿・革の違い、そしてサイズの選び方までまとめました。
登山をする人はもちろん、『登山が好きな人にプレゼントしたい!』という人にも役立つ内容となっています。
目次.
1.冬山グローブの構造は?
まず答えから言うと、
【表地+インサート状のメンブレン+中綿+裏地】
これが冬山グローブの構造です。具体的に見ていくと、
表地:ポリエステル等の合成繊維と、要所にレザーを使用。(ロープが擦るような親指と人差し指の間など)
インサート状のメンブレン:防水透湿素材のこと。ゴアテックスなどを使用
中綿:プリマロフト®、シンサレート、フリース等を使用
2.革の違いは?
表地に使用されているレザー。多くの場合、使用状況を考えて甲側ではなく掌側に使用されています。またクライミングギアの操作を考えて指と指の間にも使用されていることが多いです。
そしてレザーには大きく2種類が使用されています。
①ゴートレザー(山羊革)
しなやかで耐久性があるのが特徴です。シープレザーに比べると高価になりがちですが、冬山という過酷な環境での使用状況を考えると、最も望ましいレザーと言えるでしょう。
②シープスキンレザー(羊革)
非常に軽く柔らかいのが特徴です。耐久性はゴートレザーに劣るため、軽さとコンパクト性を重視したモデルに使用されることがあります。またゴートレザーと比べると安価になるのも特徴です。冬山での使用を考えるとゴートレザーがお勧めですが、場面によってはシープレザーが優勢となることもあります。
ちなみに『合成皮革・人工皮革はどうなの?』という疑問が出るかと思いますが、冬山用のグローブに関してはほとんどの場合使用されていません。
人工皮革は安価で大量に製造できるというメリットがあります。しかし大半が「ポリウレタン樹脂」が使われており、ポリウレタンは熱に弱く、ロープの摩擦熱に負けてしまう事から冬山グローブでは嫌煙されがちです。
また加水分解、ひび割れが起きやすく、通気性が悪く耐久性も低いという欠点があります。
しかし一方でポリウレタンの持つ柔らかさ、そしてコンパクトに持ち運べるという利点があります。また天然皮革と比べて水に強いという大きな利点があります。
ただこれらの利点があっても、やはり積雪期登山用グローブとして考えると使用状況は限られると考えます。
その為積雪期登山用グローブの購入の際には天然皮革のモデルが基本的な条件であり、そのうえで極力ゴートレザーを選ぶのが得策ではないでしょうか。
3. インサート状のメンブレンとは?
防水透湿素材については前回ウェアの仕組みのところで書いていきました。
グローブの場合も素材の特性は同じで、表地の下に防水透湿素材が挟まっています。
使われている防水透湿素材によって、伸縮性が異なるため操作性は変わってきます。
ちなみに有名なゴアテックスに関しては、伸縮性が少ない素材となっており、そのためグローブを分解してみると、グローブの大きさ以上に大きなメンブレンが入っています。

4.中綿とは?
中綿には様々な種類がありますが、よく聞くのはプリマロフトではないでしょうか。プリマロフト以外にも シンサレート® や フリースが中綿として使用されています。
基本的にはその断熱性はプリマロフト>シンサレート>フリースの順になります。
プリマロフトとはアメリカ陸軍から依頼を受け、羽毛に変わる素材として誕生した人工羽毛のことです。
そのプリマロフトにはゴールド・シルバー・ブラックと種類があります。値段も保温性もゴールド>シルバー>ブラックとなります。山での過酷な環境下で使われるアイテムにはブラックは使われることは少なく、多くはシルバー以上となります。

ゴールドの中にも複数の種類があり、ゴールドインサレーションサーモプリュームやゴールドインサレーションクロスコア、ゴールドインサレーションアクティブ等があります。
ゴールドインサレーションアクティブを使用したウェアはありますが、これは多くの場合“アクティブインサレーション”のカテゴリーに属するウェアで、その特徴は『温かいけれど通気性が高い』というものです。そのため、グローブではあまり使用されていないかと思います。
一方でゴールドインサレーションクロスコアはNASAが開発し、宇宙服にも使用されているエアロジェルという樹脂素材とプリマロフトをミックスさせたモデルで、シルバーと比べると35%くらいclo値(クロー値:衣類の保温性の目安になる数値)が上がっています。
これが実際どれくらい暖かいのかは正直よくわからない所がありますが、とりあえず軽量だけど暖かい素材ということです。
その為近年ではこのPrimaLoft® Gold Insulation with Cross Core™を使用する冬山グローブが増えています。
5.インナー取り外し?一体型?
ここまでグローブの構成に関して見ていきました。
次は『インナーの取り外しの有無』という視点からグローブを考えることも出来ます。
冬山グローブにはインナーが一体型のモデルと、取り外しできるタイプがあります。それぞれにメリット・デメリットがあると考えます。
一体型のメリット:指先感覚や操作性が高い
一体型のデメリット:内部が濡れると乾かすのが難しい。
取り外しのメリット:濡れても別のインナーで代用可能。夜間に乾かすことが可能。
取り外しのデメリット:指先感覚や操作性が一体型と比べると劣る
『絶対日帰り!』という人は一体型が良いかもしれませんが、それ以外の人は取り外し型が良いかなと思っています。取り外しができれば縦走の時にはテントで乾かすことができるし、日帰りだとしても急に濡れてしまっても(多汗な人も)インナーを交換すればある程度の乾きは確保されるためです。
冬山では濡れるというのは危険なことで、実際私は過去に冬山で3泊4日の山行に出た時に、足先を軽度が凍傷をしてしまったことがあります。これもシューズ内の濡れが原因でした。グローブも“乾かすことができる”、“他と交換できる”というのは大きなメリットかなと思います。

6.サイズの選び方とその他のポイントは?
サイズ選びに関しては、シンデレラフィットが一番だと思いますが、【ちょっと小さい】or【ちょっと大きい】で悩むなら【ちょっと大きい】が私はお勧めです。
何故なら大きい方がインナーグローブの厚みが変わっても対応しやすいからです。また小さいと血流が悪くなり、しもやけや最悪の場合凍傷になる可能性があるからです。
その他、グローブ購入の際に気にするポイントは、指先にカラビナループが付いているか(壁の中で外した時にも雪が内部に入らないようにできる)、手首の絞り、撥水加工の種類などがあります。

今回はグローブに関して書いていきました。これからの冬山シーズンで活躍する冬山グローブ。検討の時の参考になれば幸いです!
レインウェアに関しての記事もあるので参考にどうぞ!



